磯野 貴之

Isono takayuki

 

昔、特別支援学校に通う自動車のシートに寝そべりながら車窓を流れる電線とそれを支える電柱をいつも見上げていました。道に迷った母に電柱を見て道案内するほどであったと言います。この「でんちゅうでんせん」は、中学部時代、自宅で突然描き始め、3か月で仕上げたものです。延べ42000本の電信柱と全てをつなぐ電線が描かれています。

 

 

1997年生まれ

2017 「Artbrut Japone  KOMOREBI」(フランス国立現代芸術センター リュ―・ユニック[フランス、ナント])

2018 「ビエンナーレTOYAMA2018」(富山県美術館)

2021 「beのコトと人とこの美」南砺市福光美術館

2023 「Echo こだま返る風景」東京都現代美術館渋谷公園前ギャラリー

    「NOMAMAtoGAMAMA 氷見のアール・ブリュット展」氷見市芸術文化k館

「Artbrut Japone  KOMOREBI」

磯野さんは電線が好きで、特別支援学校に通う自動車のシートに寝そべりながら車窓を流れる電線とそれを支える電柱をいつも見上げていました。道に迷った母に電柱を見て道案内するほどであったと言います。紙や学校の壁にも電柱を描いていましたが、この「でんちゅうでんせん」は、突然自由帳に描き始め、その後3か月集中し続けて仕上げたものです。約6000ページにわたって、前ページと次ページがつながるように電柱約38000本とそれをっつなぐ電線が描かれています。電線や電柱が区切る空の形でそこがどこか、どこと繋がっているかを知ることができる。それは彼ならではの確認方法であり、自分につながる世界を描くと同時に、自分自身を描いたとも言えます。製作時のまるで憑りつかれたかの様な姿は、彼にとって電線を描くことが切実な行為だったことを表していますし、コミュニケーションが苦手な彼にとっての必要不可欠な自己表現がこの作品だったのでしょう。

 

 

 

変な名前の人たちと下関ナンバーの自動車

 

 

 

教室の机と椅子